直線と円弧を滑らかに繋ぐ
実物の鉄道では、直線と円曲線の間に緩和曲線が入っています。緩和曲線があることで、無い場合に対して乗り心地がよくなり、また無い場合に対してスピードを出すことができます。
一方で半径の小さな鉄道模型では、直線からカーブに入るときに不自然にカクっとなってしまいがちです。遠心力(曲率)が無段階に変化する緩和曲線を入れることで模型の走行の見た目を改善することができます(ポイント用カーブ程度では残ってしまうカクっとした動きを抑えます。緩和曲線無しの大半径カーブとは違った、滑らかな走行になります)。
緩和曲線とは何か?
緩和曲線といったいはどのようなものか? それは直線と円曲線を滑らかに接続するものです。緩和曲線があることで遠心力ゼロの直線と、遠心力が一定の円曲線の間で、遠心力が滑らかに無段階で変化します。
さて、緩和曲線がどのようなものかについては、実物で緩和曲線がない場合が一番わかりやすいでしょう。分岐器、いわゆるポイントには緩和曲線がありません。分岐する向きでも合流する向きでも、いきなりガクッと揺れます。このガクッと揺れるのがないように、滑らかに直線と曲線を繋ぐのが緩和曲線なのです。
実物に乗って貫通路を見ながら分機器を通過しますと、妻面がガクッと大きくズレます。普通のカーブでは緩和曲線があるので制限の低いカーブでも分岐器ほどはずれないことが多いようです。
さて、模型では実物よりもずっと小さな半径で走行させます。するとカーブと直線の境界付近で、車両がカクっとなります。模型における緩和曲線では、このカクっとした動きを抑えることができます。
なお、このカーブの入口や出口でのカクっとした動きへの対処方法として、緩和曲線とは別の方法を採る方もいます。それには複心曲線と呼ばれるものがあります。カーブの出入口にポイント用カーブなどを入れる方法のことです。しかし残念ながら、それでもカクっとした動きをなくすことはできません。例えばNゲージでR541mmでは実物換算で81.15m。狭軌1067mmであれば制限20に対応する分岐器です(緩和曲線なしなので分岐器用制限で計算しています)。当然この程度の半径ではカクっとした動きをなくすことはできません。更には、フレキシブルレールを使用して半径1mといった大半径カーブを作ったとしても、実はこのカクっとした動きはわずかに残ってしまうのです。
では、緩和曲線を入れるとこのカクっとした動きがなく滑らかになるのはなぜでしょうか? それは、半径が無段階で連続的に変化して、半径無限大になるところまで繋がっているからです。円弧の半径を多段回で変化させる方法や、半径が無限大にならない曲線で直線とカーブを繋ぐ方法もありますが、これらの方法ではカクっとした動きはなくせないのです。
緩和曲線線路では直線に違い部分に長い直線に近い形状の部分が入っています。実はこの直線に近い部分が肝なのです。この直線に近い部分が入っていることにより、滑らかにカーブに入って行けるのです。
直線逓減:クロソイド曲線
曲率(遠心力)の変化が直線であることから狭いスペースで緩和曲線を楽しめるので、単純な小判型エンドレスにお勧めです。
曲線逓減:サイン半波長逓減他
曲率(遠心力)の変化に角折れがないので、直線との繋ぎ目がより滑らかな走行となります。
基本的な使い方…小判型エンドレスで使う
緩和曲線の種類はクロソイド曲線と曲線逓減の2種類がございますが、小判の縁形の単純なエンドレスの場合では、どちらをご使用いただいても構いません。走行動画などで見た目で選んでいただくのがよいでしょう。